ヒュグリの国のりんごの話

SOSUアシスタントとして働く元ナースから見たデンマーク

【デンマーク】介護現場で働いていて驚いたこと10選 (後編)

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こんにちは、りんごです。

今日は前回からの続き、デンマークの介護現場で働いていて驚いたこと、残り5つを書きたいと思います。

仕事は定時

デンマークでは残業することはまれです。

私も日本で働いている時は、比較的残業の少ない病棟でしたが、もちろん全員日勤が終わるまでは帰れませんでした。そして帰ろうという発想もなく。

 

デンマークでは皆、時間通りに終わります。というか、終わらなければ夜勤者に申し送りして帰ります

忙しくなければ、皆終わるころには、帰る支度を始め、15時まで勤務なら15時には着替え終えて外にでてる、なんて珍しくありません。

 

そして、日本では当たり前のように早めにきて、情報収集をしていましたが、勤務開始時間の10分以上前にきている人はとってもまれです。

勤務時間内のみ仕事をし、サービス残業は0です

 

誕生日にはケーキ

日本では大人になると、誕生日会を開くというのは珍しいですよね。でもデンマークでは大人になっても、高齢になっても、誕生日は一大イベントです。

 

老人ホームなら、みんなでお祝いし、誕生日ケーキがふるまわれます。

そして、スタッフが誕生日の場合、本人がケーキを持参し、他のスタッフにふるまいます。この習慣は保育園や幼稚園でもあって、私も娘が誕生日の時は、クラスメイトの分のケーキなどを持参します。

 

デンマーク人はパンやケーキを自分で焼く人が多く、なんでもない日に朝来ると、誰かが焼きたてのパンを持ってきてくれたり、お昼にケーキがでるなんてことがあります。

みんなとってもおいしいケーキやパンを焼いてきてくれるので、びっくりします。

 

デンマークの国旗

誕生日のことともつながるんですが、デンマーク人はデンマーク国旗が大好きです。

f:id:hyggeligngo:20211210055047j:plain    デンマークの国旗

 

日本では国旗は祝日に飾ってあるのを見るくらいですが、デンマークでは祝日はもちろん、お誕生日の日にはなくてはならないものです。

誕生日会を開くなら、玄関からデンマーク国旗を飾り、誕生日の人の座席の前にも国旗を飾ります

 

それは老人ホームでも同じで、誰かが誕生日なら朝から国旗がお庭に揚げられます。そしてその人の自室の前にも大きい旗が飾られて、誰が誕生日かすぐわかるようになっています。

 

訪問介護でも、電子カルテのようなものがあるのですが、誕生日にはその人の名前の横にデンマーク国旗が表示されて、すぐに誕生日とわかるようになっています。

 

デンマーク人はデンマーク国旗をよく飾るので、スーパーや、日本でもおなじみのTiger(タイガー、デンマーク読みではティーヤー)や雑貨やさん、結構どこでも色々な大きさのデンマーク国旗を買うことができます。

 

そして、誰かが亡くなった時には、デンマーク国旗はポールの半分あたりに下げて揚げます。

 

お肉、じゃがいも、ソース

日本では高齢の方は、あっさりしたものや煮物、魚料理を好むことが多いですが、デンマークは高齢の方もがっつりお肉を食べます。

働いている世代の人たちは、デンマーク料理以外の他国の料理も食べる人が多く、同僚からも、おすし大好き、なんて言われたりしますが、高齢の方はやっぱりデンマーク料理が大好きです。

 

デンマーク料理といえば、お肉、ソース、じゃがいもです。

デンマークは寒い国なので、昔は特に寒い時期、野菜の種類がとっても少なかったそうです。なので高齢者はあまり野菜を食べる習慣がなく、野菜がなくても全然平気だったり、にんじん、トマト、キュウリくらいしか食べなかったり。

 

老人ホームでの食事は、

朝:パン、オートミール、ヨーグルト、果物などから好きなものを選んで食べます。

昼:Smørbrød(スモーブロー)とよばれるオープンサンド。

夜:お肉、ソース、じゃがいも又はマッシュポテト、ほんの少しの野菜

こんな感じです。お魚もあまり食べる習慣がないので、サーモン以外はでることがあまりありません。

 

日本のバランスのとれた料理と比べると、栄養が偏るのではないかと思うのですが、このメニューが一般的な老人ホームの食事メニューです。

その他にコーヒータイムが1日2~3回あって、ケーキやクッキーなどがでます。

 

自分のことは自分で決める

私が日本で働いていた時には、今後の治療方針など、家族で話し合ってもらうことが多かったですが、デンマークでは基本的に本人がすべてを決めます

 

デンマーク人は小さいころから、自分で考え、自分の意思を他人に伝える、ということを大切にしています。そして自分の人生は自分で決める、という人がほとんどです。

 

そして、デンマーク語でSelvbestemmelsesretten(日本語で自己決定権)というのですが、法律でも保証されている、国民の権利です。

 

私たちSOSUアシスタント、ヘルパーは、学校の授業の中でも、自己決定権の大切さを細かく習います。

デンマークでは本当に自己決定権がとても強く、もし本人が拒否すれば、医師からの説明を本人の家族に説明することもできません。命に係わることでなければ、ほぼすべてのことの本人の同意がなければ、行うことができません

 

もちろん介護のプロとして、本人に説明したり、サポートしたりして、本人の一番いい状態を保てるようにしますが、本人が拒否すればできないことも多いです。

 

日本で働いていた時は、医師や看護師が言うなら、という高齢の方も多かったので、デンマーク人の意思表示のしっかりしたところにはとても驚きました。

 

おわりに

私がデンマークの介護現場で働いていて驚いたことを書いてみました。日本とデンマーク、似ていることや全然違うこと、色々ありますが、今回は特に働き始めのころにびっくりしたことをまとめてみました。